日本の環境で大型犬を飼うのは一般的に少し難しいと思われるのではないでしょうか。
しかし、そんな中でもラブラドールは人気があり多くの飼い主さんが室内で飼うことの魅力を感じています。
その人気の秘密は何といってもラブラドールが持つ優しい性格にあります。
また本来の賢さから、盲導犬など各分野で活躍していることも、安心して家庭で買える理由だといえるでしょう。
今回はラブラドールの性格や特徴についてお伝えします。
ラブラドールレトリバーの性格
ラブラドールはとても穏やかで優しい性格をしています。
とても素直でおおらかなため争いを好みません。
忍耐強く、命じられた仕事にも熱心に取り組むことができます。
好奇心が旺盛で何にでも興味を示します。
人が大好きで愛情深く家族との関係を大事にします。
からだは大きいですが、社交的で優しい性格なので番犬にはあまり向いていないといわれています。
とても遊び好きでやんちゃな性格なのでいたずらをして家族を困らせることがあります。
特に子犬~2歳くらいの間は別名「破壊王」といわれるほど、部屋をめちゃくちゃにすることでも知られています。
しかし、そんなやんちゃぶりも成長とともに次第に落ち着き、本来の穏やかな性格へと戻っていきます。
またラブラドールはとても食いしん坊な性格であることも有名です。
いつも食べものを探しているようにも見えます。
口にものを咥えることが好きなので、なんでも落ちているものを口にする癖があります。
餌の与えすぎで食べ過ぎて肥満になることは避けたいところです。
ラブラドールレトリバーの歴史
ラブラドールのルーツはカナダにあるニューファンドランド島にいた小型の黒いウォータードッグが起源ではないかといわれています。
起源に対するはっきりとした事実は残されてはいないのですが、今ではこの説が定説になっています。
小型のウォータードッグはよく訓練されていて、撃ち落された水鳥を回収することに長けていました。
なめらかな短毛が水をはじき、寒い冬でも水の中で活動できるためハンターたちに重宝されていたようです。
1800年代にイギリスのプールハーバーとニューファンドランド島は頻繁に交易を行っていました。
この時期に黒いウォータードッグを大量にニューファンドランドからイギリスに輸入したといわれています。
当時イギリスの貴族の間では水猟が流行っていました。
その貴族たちの目にとまり立派な水猟犬として受け継がれていったようです。
1830年代にはイギリスの有名な狩猟家によって大型犬との交配がされて現在のラブラドールに近くなったといわれています。
ラブラドールという犬種として初めて確立されたのが1903年にイギリスのケネルクラブに公認されたことです。
そのためラブラドールの原産地はイギリスということになっています。
ちなみにカナダのニューファンドランド島の近くにラブラドール半島という場所がありますが、ラブラドールのルーツはそこではないといわれています。
ラブラドールレトリバーの特徴
ラブラドールレトリバーはその昔、猟師の打ち落とした水鳥を口に咥えて運ぶ仕事をしていました。
「レトリバー」は「回収する」という意味で、獲物を回収する犬という意味で名付けられています。
水の中での仕事が多かったことから、足には水かきがついていて、水をはじく被毛を持ち冷たい水の中でも泳ぎが得意なことがあげられます。
ラブラドールは知的で労働意欲の高い犬種としても有名です。
体の大きさは体重はオスが29~36kg、メスは25~32kg程度。
体高がオスは57~62cm、メスが545~59cm程度。
からだは筋肉質で全体が引き締まっていて短毛、たれ耳で優しい顔をしています。
ラブラドールの寿命は10~14年ほどといわれています。
加齢と共に被毛が白くなっていきます。
食欲旺盛なので運動不足により肥満になりやすく、肥満は健康状態や寿命に大きく影響します。
適切な食事と運動を計画的にしていた犬は、無計画に肥満した犬より2年長生きするという報告があります。
ラブラドールレトリバーのスタンダード
ラブラドールにはその品格を保つために公式にスタンダードという基準があります。
体の大きさやスタイルは個性があり様々ですが、理想としているラブラドールはどんなものでしょうか。
ブリーダーはその理想像を目指して繁殖をしていきます。
《ジャパンケネルクラブのスタンダード》
体高:オス 体高56~62cm メス 体高54~59cm
被毛:ブラック、イエロー、チョコレート 短毛でなめらか、ウェーブをしていない
頭部:頭部が広く額が少し盛り上がり鼻と額の間にくぼみ(ストップ)が明確にある、耳は垂れ耳で後方にあり頬のうしろに接する、目は中位の大きさで瞳の色はブラウンかヘイゼルで目のふちは黒でなければならない
あご:マズルの長さは中くらいで、先細りになっているのは良くない
胴:背筋は水平で、腰は幅広く筋肉が発達していて、腹は引き締まっている
四肢:前肢は骨太で真っすぐ、後肢は筋肉が発達し尻は傾斜せず尾に連なる
ラブラドールレトリバーの毛色
ラブラドールの被毛の色は、黒、イエロー、チョコレート色の三種類が認められています。
このうちどれか一色で斑点模様などは認められません。
例外的に胸の小さな白斑だけは認められています。
イエローとチョコレートが認められたのは20世紀になってからのことです。
イエローはもともと濃い茶色に近い色だったが、明るいイエローやクリーム色が好まれるようになったため、現在のイエローはほとんどがこのタイプになっています。
チョコレートも元々確立された色ではなかったが、20世紀はじめに交配を重ねチョコレートの色を確立しました。
ラブラドールレトリバーの成長
誕生:生まれてから3~4週間は母犬のお乳を飲んだり寝るを繰り返します。
30日:体重も生まれた時の6倍くらいになり、乳歯が生え始めます。
50日:離乳期を迎えおしっこやうんちも自分で出来るようになり、簡単なしつけも覚えられるようになります。
75日:兄弟と離れ離れになって新しい飼い主のもとに行く時期です。
4か月:人間社会のルールを学ぶ時期に入り、しつけをするのに最も大事な時期となります。体の基礎が作られ、乳歯が抜け始め永久歯が生え始めます。
8か月:ほとんど成犬と変わらないくらいの大きさに成長します。活動的になり縄張り意識も芽生え散歩中にマーキングをするようになります。
成犬:10か月を過ぎたらからだは十分大人になりますが、本当に成犬になるには約2年くらいかかります。精神的に落ち着きが出てくるのも2歳を過ぎたあたりからになります。
ラブラドールレトリバーの活躍
ラブラドールの優れた性質を生かして、盲導犬、警察犬、災害救助犬など各分野で活躍をしています。
盲導犬
盲導犬は目の不自由な方の代わりに目となる役割を果たしています。
命を預かっているため、厳しい審査を乗り越えた犬だけが盲導犬として活躍できます。
現在盲導犬の全体の約9割以上がラブラドールになっています。
昔はジャーマンシェパードが盲導犬として使われていましたが、社会に出る機会が多い盲導犬は周りの人々にも怖がられない風貌のラブラドールがより多く選ばれるようになりました。
警察犬
警察犬はすぐれた臭覚と運動能力、そして犯人に立ち向かう勇敢さが重要です。
犯人が事件現場に残したにおいをもとに追跡するのが主な仕事になります。
ラブラドールは特に麻薬の感知にすぐれているため、麻薬探知犬として専門に訓練されることもありあます。
介助犬
介助犬は体の不自由な人のために多岐に渡ってサポートするのが仕事です。
介助犬がいることで、介助する人の苦労を軽減できたり、介助される本人もプライベートな時間を持つことができます。
まだ日本での普及は少なくわずかしかいないようです。
ラブラドールレトリバーの人気とは
ラブラドールは世界中に愛好者が多く、現在世界で一番多く飼われている犬種といわれています。
アメリカでは2000年~2016年までずっと人気の犬種として首位を独占しています。
人気の理由は人懐っこく穏やかで人を笑顔にしてくれ家族の一員としてものすごくかわいいということがあげられます。
世界中で愛されているラブラドールは、人間と同格として認められ、大型犬でも室内で飼いやすく忍耐強く細かな性格が、日本でも人気が広がりつつあります。
ラブラドールレトリバーを飼って欲しい人は
ラブラドールは大型犬なのでご飯をたくさん食べます。
小型犬と比べてもからだが大きい分食費がかかります。
食べた分はしっかりと運動をしなくてはなりません。
犬と真剣に向き合えてしっかりと面倒が見れる人に飼って欲しいと思います。
ラブラドールは人と関わっていることが好きなので、ほったらかしにされるとストレスが溜まります。
愛情深く家族同様に可愛がってくれる飼い主さんを望んでいます。
ラブラドールの持っている潜在能力は高いといえますが、しっかりとしたトレーニングがないとその能力も発揮することができません。
ラブラドールだからといって最初から賢いわけではありません。
何もしつけがされていない状態では問題行動を起こす可能性がきわめて高いです。
体が大きくチカラも強いため、子犬の頃からのしつけはとても重要です。
はっきり言ってラブラドールは手がかかりますので、十分な愛情と時間が取れる方に飼って欲しいと思います。
ラブラドールレトリバーのなりやすい病気
ラブラドールにもなりやすい病気があります。
股関節形成不全
股関節が外れていたり、外れかかかっていて歩行するのが困難になる病気です。
ラブラドールは遺伝的に先天的に持っているといわれていて、約半数がこの病気にかかっているというデータがあります。
股関節に負担をかけ過ぎると病気が発症する原因ともなります。
肥満になることで重くなった体重が股関節に負担をかけることも危険とされています。
外耳炎
ラブラドールは垂れ耳のため、耳の中が炎症を起こしやすくなります。
何らかの拍子に耳の中に害虫などが入ってしまうと、中で炎症を起こし細菌が発生します。
耳を頻繁に掻いたり、痛がる素振りを見せている場合は外耳炎の疑いがあります。
皮膚炎
ラブラドールの被毛はダブルコートで二重構造になっているため、皮膚炎にもなりやすいこともあげられます。
被毛の中にノミなどの害虫やハウスダスト、古くなった被毛が付いているとアレルギーを起こし痒みが広がり掻くことで皮膚炎を起こす可能性があるためブラッシングやシャンプーを定期的にすることが必要になります。
白内障
ラブラドールは目の病気、特に白内障になりやすいといわれています。
白内障は目の中の水晶体が白く濁り、目が見え難くなる病気です。
老化とともに起こりやすい病気といえるので、歩いていて何かにぶつかるなどの症状が見えたときには白内障を疑ったほうがいいでしょう。
早めの治療で進行を遅らせることも可能ですので病院にいきましょう。
悪性リンパ腫
ラブラドールはガンになりやすいともいわれています。
その腫瘍の多くは体表に現れることが多く、もっともなりやすいのが悪性リンパ腫です。
悪性リンパ腫は体表にあるリンパ節が腫れて、疲れやすくなったり、元気や食欲がなくなり体重が減ってしまう病気です。
病気が進行してしまうと肝臓、脾臓、骨髄へ転移していきます。
治療をしないと数週間のうちに亡くなってしまうケースが多く、化学療法により腫瘍を小さくすることを行っていきます。
ラブラドールレトリバーの相場価格
ラブラドールの相場価格は子犬のときで20万円前後くらいです。
どのペットショップで買うかどのブリーダーから買うかによっても価格は変わってきます。
また、血統書によっても値段が大きく跳ね上がることもあります。
ラブラドールレトリバーを選ぶポイント
ペットショップ
まずはどこで買うかを決めますが、ペットショップであれば良いペットショップか悪いペットショップかを見極めましょう。
店内の衛星管理はしっかりされているでしょうか。
お店に入った途端にひどい悪臭がするようでは排泄物などの掃除が行き届いていないことが考えられます。
食事やトイレの管理がしっかりとされていない場合は子犬の健康状態も疑問を感じてしまいます。
ブリーダー
ブリーダーから買う場合はラブラドール専門に扱っているブリーダーがいいでしょう。
ブリーダーからの購入のメリットは親犬を見ることで成長した姿を想像することが出来ることです。
飼育環境を見て愛情深く育てられているかを判断することもできます。
子犬の選ぶポイント
子犬を選ぶポイントは、呼びかけた時に喜んで駆け寄ってくる子を選ぶといいでしょう。
社交性があることは、生活を共にする上でとても大事です。
警戒心の強い子は無駄吠えや威嚇をすることも考えられます。
よくなつく子犬は、しつけをするうえでもとてもやりやすく覚えるのも早いでしょう。
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